豊かな自然に抱かれた秘境・・・【大津 金比羅神社】

前回の金比羅宮に続き、今回も大津市内のこんぴらさんを巡ります。





JR湖西線、蓬莱(ほうらい)駅です。今回の目的地はここが最寄の駅になります。
と言っても、仮にここから歩いたとすれば30分以上はかかると思いますが・・・





駅前の県道(西近江路)を高島市方面へ進み、八屋戸の信号を左折します。道なりに
進んで湖西道路の下をくぐり、比良山地へ入ります。途中には砂防ダムがあります。





両側に山が迫り谷を形成し、林道は次第に険しさを増していきます。





やがてヘアピンカーブが現れ、勾配はさらにきつくなります。





先ほどのヘアピンカーブを曲がると、すぐに次のヘアピンカーブが現れます。そこで
視界が開けます。上を向くと・・・何と鳥居が立っています。ここが目的としている
金比羅神社(こんぴらじんじゃ)」で間違いなさそうです。ところが、鳥居の奥は
想像以上に鬱蒼とした林になっており、軽装では不安が残ります。この辺りはクマの
出没情報もあるので、しっかり装備を整えて鳥居に近づきます。





鳥居の周囲にはシダ植物が鬱蒼と茂り、特異な雰囲気を醸し出しています。しばらく
人が立ち入った形跡が見られません。これまで私は数多くの山中の神社にお参りして
きましたが、ここはさすがに先に進むのをやめようかと思いました。





それでも、ここまで来たら入るしかないのです。意を決し鳥居をくぐり、植物が覆い
茂る参道を進みます。





先に進むにつれ、本当に参道が続いているのか・・・という不安が増していきます。
でも、それ以上に「この先にどんな光景が待っているのか・・・」という期待の方が
勝り、自然と足が前へ前へと進んでいきます。





参道を歩き始めておよそ5分、木々の間から鳥居が見えてきます。本殿でしょうか?





湧き水を引いて設置された手水舎はありますが、本殿が見当たりません。それでは、
この鳥居は一体何のために立てられたのでしょうか?





鳥居の奥には小さな沢が滝を形成しています。このところほとんど雨が降っていない
ためか水量は非常に少ないのですが、ここは心身を清める神域なのでしょう。





道はさらに奥へと続いています。手すりが設置されているので崖下に落下する心配は
ありませんが、クマを警戒して鈴を鳴らしながら慎重に進みます。





ふと見上げると、断崖に社殿のような建物が建っているではありませんか!今度こそ
本殿が近づいてきたのではないでしょうか?





やがて階段は終わり、社殿が姿を現します。今度こそ、本殿に着いたようです。





本殿はとても簡素で小さく、小屋の中にお祀りされています。小屋は柵がしてあり、
一見すると中に入ってお参りすることはできないようです。仕方なく、小屋の外から
本殿に正対してお参りしようと思ったのですが・・・





ご覧のように、社殿の目の前は断崖となっており、立つ空間はほとんどありません。
少しでもバランスを崩せば、すぐに崖下に落下してしまうでしょう。さすがにそんな
危険を冒してまで正面からお参りするつもりはありません。



ところが、柵には閂(かんぬき)が掛けられています。これを外すことにより、中に
入ってお参りすることができるのです。





本殿を覆う小屋には、様々なものが奉納されています。あるいは、動物除けの役割も
果たしているのかもしれません。



本殿に正対し、静かに手を合わせて祈ります。周囲は不気味なほど静まり返り、耳に
入ってくるのは降り始めた雨の音だけです。





この日はあいにくの天気で残念でしたが、天気がよければ眼下に琵琶湖をはっきりと
望むことができるはずです。この辺りで標高550メートルほどはあります。



人はおろか、動物の気配すらありません。これまで体感したことのない神的な空気、
それに自然の澄んだ空気が交じり合い、私を優しく包み込みます。ここは「秘境」と
呼んでも過言ではないでしょう。





社殿は山の斜面に沿って建てられていますが、彦根の比婆神社のような大きな磐座は
存在しないようです。それでも、一帯には独特の空気が漂っています。





参拝を終え、無事に林道まで下りてくることができました。天気がよければもう少し
ゆっくりしたのですが、雨がけっこう降ってきてしまったので今回はここまでです。
神様を間近で感じてみたい方、しっかり装備を整えてぜひ一度訪れてみてください。
私はまた近々、訪れてみたいと思います。神様を感じに・・・



金比羅神社」(赤マーク)
滋賀県大津市八屋戸(番地不明)

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