仲睦まじい伊邪那岐と伊邪那美にお会いできる・・・【中津川 恵那神社】

岐阜県と長野県の県境に聳える「恵那山(えなさん)」には、数多くの神々の伝説が
残されています。そんな神の歴史に触れに、恵那山の麓へやってきました。今回から
数回に渡り、恵那山周辺を訪れた際の様子をご紹介していきます。





高速道路に乗って、岐阜県中津川市にやって来ました。市の中心部を木曽川の支流で
ある「中津川(なかつがわ)」が貫いています。中津川に限らず、市内を流れる川の
水質は非常によく、水はとても澄んでいます。写真は中津川の中流部です。





中津川沿いの道から外れ、川上(かおれ)という集落を山の方へ上ります。集落には
棚田が広がり、日本の原風景のような景色を見ることができます。





川上集落の最奥部に駐車スペースがあります。そこに車を停めて少し歩くと、鳥居が
目に入ってきます。





「恵那神社(えなじんじゃ)」です。川上集落より上は森林が広がっており、鳥居の
背後にも鬱蒼とした林が迫っているのが分かります。ここより奥は恵那山から延びる
森林地帯であり、広大な神域でもあるのです。





鳥居に掲げられている注連縄が非常に特徴的です。これまで訪れてきた神社と違い、
注連縄が大きく垂れ下げられています。この理由については分かりませんでしたが、
神域であることを強調するものでしょうか?鳥居の先には石段が長く続いているよう
です。





参道は鬱蒼とした林に包まれて薄暗いですが、立派な杉の木が数多くあります。林の
あちこちから自然の力が湧いてきているようです。





石段の先に社殿が見えてきました。その前に立派な杉の木が二本、社殿を守るように
立っています。





特に左の杉の木は幹が太く、かなりの樹齢であると推測できます。どちらも注連縄が
張ってあることからご神木であると分かります。



これらは「夫婦杉」として、岐阜県の天然記念物に指定されています。昭和45年の
時点で、樹齢600〜800年経過していると推定されています。高さは50m近く
あるようです。



恵那神社の御祭神と夫婦杉には、何か深い縁を感じます。



恵那神社の御祭神は・・・
★「伊邪那岐大神(いざなぎ)」
★「伊邪那美大神(いざなみ)」



過去に比婆神社・大杉神社の記事で取り上げた通り、伊邪那岐伊邪那美は夫婦です
が、別の社で(比婆=伊邪那美、大杉=伊邪那岐)お祀りされています。ところが、
恵那神社では仲良く一緒にお祀りされていますよね。



ここで、恵那山について少し触れます。恵那山にはある伝説が残っています。



以前の比婆神社の記事で、伊邪那岐命天照大神(あまてらすおおみかみ)を生んだ
ことはお話しました。ところが恵那山に伝わる説によると、伊邪那美命天照大神
産んだというのです。



そして、その際の胞衣(えな、胎児を包んでいた膜や胎盤)を山の頂上に納めたこと
から、「恵那山(えなさん)」と名付けられたというのです。



この話から考えれば、伊邪那岐伊邪那美が一緒にお祀りされていることも頷けます
よね。二人の間に産まれたと考えることができるからです。



日本神話においては、伊邪那岐伊邪那美は最終的に離縁となってしまうのですが、
恵那山の伝説では、むしろ夫婦円満の象徴となっているのかもしれません。こうした
話も、恵那神社と夫婦杉との縁を感じませんか?





さて、お参りです。いつもなら彦根伊邪那岐伊邪那美、別々の神社でお参りする
しかありませんが、ここならば一緒にお会いすることができます。日本の国土創世の
二神に、この国難を乗り越える力を与えてくださるようお願いしました。





こちらが本殿です。本殿からも周囲の林からも、何やら力を感じます。





こちらは石碑に「遥拝所」と記されています。恵那山頂には奥宮が鎮座しています。
恵那山は標高2191mもあるため、奥宮にお参りできない人々のために建てられた
のでしょう。





拝殿と本殿の様子です。本殿は石垣が組まれた一段高いところに建てられています。





本殿・拝殿の一段下には、小さな社殿と伊邪那岐伊邪那美を模したと思われる像が
お祀りされています。これも夫婦円満の象徴でしょう。





伊邪那岐伊邪那美に見守られ、ゆったりとお参りすることができました。恵那山を
巡る旅、まずは順調な滑り出しです。次に訪れる場所はすでに決めていたのですが、
そこへ至る途中で新たな発見をします。次回はその様子をお届けします。



「恵那神社」(赤マーク)
岐阜県中津川市中津川3786−1

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