世界は再び光に照らされた・・・【福知山 天の岩戸神社】

グルメ情報を二回挟み、今回はまた神社の記事をお届けします。以前に丹波市の水分れ
公園といそ部神社をご紹介しましたが、今回はその後訪れた神社の様子です。



舞鶴若狭自動車道の福知山インターで降り、国道9号を西方向へ進みます。途中で国道
175号に乗り継ぎ、北近畿タンゴ鉄道沿いに進むと、福知山市大江町に到着します。



この辺りには、伊勢神宮の元宮と言われる「豊受大神社」と「皇大神社」があります。
前者が外宮、後者が内宮ですが、もう一社を合わせて大江町の元伊勢三社として、この
地方では古くから崇敬されてきたそうです。その「もう一社」を、今回ご紹介します。





皇大神社の西側に川が流れており、川沿いに道が並走しています。その道を上流方向に
進んでいくと、およそ3分弱で「天の岩戸神社」の参道に到着します。





階段は下を流れる渓流に向かっています。階段を下りた先に鳥居のような構造物も確認
できるので、神社は渓流沿いにあるのでしょう。これは楽しみです。





先ほど見えたのは、やはり鳥居でした。鳥居の先には小さな社殿も建てられています。
周囲には心地よい渓流の音が響き渡り、深呼吸すると新鮮な空気が体に入ってきます。





鳥居をくぐり、渓流に向け一気に下っていきます。先ほどの階段と比べるとかなり急で
狭い階段なので、足元に気を付けて慎重に下ります。





階段自体はそれほど長くはないですが、険しさはご覧の通りです。慎重に下りないと、
一気に転げ落ちてしまうかもしれません。





階段を下りると、豊かな水量を誇る渓流が迎えてくれます。その渓流のため、周囲には
ひんやりとした空気が漂っています。さて、少し視線を上に向けると・・・





渓流の斜面の上に社殿が建てられているではありませんか!よく見ると鎖が設置されて
おり、上まで登ることができそうです。せっかくなので、上でお参りしましょう。





本殿の目の前まで登ります。こうして見ると、斜面の岩の形に合わせて柱の長さが調節
され、自然を壊さずに建てられているのが分かります。



天の岩戸神社の御祭神ですが、恐らく・・・
★「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」・・・太陽神



そもそも「天の岩戸」とは何なのか・・・簡単に説明します。



天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は、「素盞嗚尊(すさのおのみこと)」の
粗暴な行いに耐え忍んでいましたが、ついに我慢しきれなくなり天の岩戸に閉じ籠って
しまいます。すると、天上界も地上も闇に包まれ、様々な災いが起こります。



八百万(やおよろず)の神は天安河原(あまのやすかわら)に集まり、どうしたら天照
大御神を天の岩戸から引き出せるのかを相談します。その結果、天の岩戸の前で鶏を
鳴かせ、神々は賑やかに歌い踊り祝詞(のりと)を奏上します。外の様子がおかしいと
思った天照大御神は、岩戸を少し開いて外の様子をうかがいます。



天照大御神は、自分が閉じ籠っているため世界が闇に覆われているのに、なぜ八百万の
神は楽しく歌い踊っているのかと神々に問います。すると神々は、天照大御神より貴い
神が現れたことをとても喜んでいるためと答えます。天照大御神は、自分より貴い神を
もっとよく見たいと思い、岩戸をさらに開きます。そこを神々によって引き出されて、
天地に光が戻るのです。



こうした天の岩戸伝説は日本各地に残っており、この天の岩戸神社もそのうちの一ヶ所
なのです。さて、ここの天の岩戸はどこにあるのでしょうか?





本殿奥、渓流を挟んで反対側の崖に少し凹んだところが見えます。ここが天の岩戸だと
思います。天照大御神はここに閉じ籠ってしまったのでしょう。





山間の渓流沿いにひっそりと建つ小さな神社ですが、ここからこれからも日本を明るく
照らし続けていってほしいと思います。そんな祈りを込めてお参りしました。





参拝を終え、斜面を下ります。きっとこの河原で八百万の神が相談をしたのでしょう。
目をつぶり、少しの間そんな光景を想像してみましょう。



さて、階段を上り鳥居のあるところまで戻ります。他にも見どころがあるようなので、
そちらに行ってみましょう。





下を流れる渓流には「産釜(うぶがま)」と呼ばれる穴がありますが、そこには近づく
ことができません。このように遥拝所が設けられているので、下を覗いてみましょう。





中央付近に写っているのが産釜でしょうか?これだという確証はありません。



由緒書によると、産釜は満水することも減水することもなく、中の水は腐ることもない
そうです。干ばつのときにその水を少し垂らすだけで、たちまち神の雨が降り注ぐのだ
そうです。



干ばつのとき・・・以前、そんな場所があったような気がしますね?そうです、出雲の
那賣佐神社の近くにある岩坪です。ここにも同じような伝説がありましたよね。





鳥居のすぐ近くには本殿の遥拝所があります。急な階段を下りられない方のために設置
されているのだと思います。賽銭箱から右へ少し目をやると、先ほどお参りした本殿が
写り込んでいるのが見えます。ここからも本殿を拝むことはできるのです。



素晴らしい社殿を拝むことができ、とても満たされた気持ちになりました。残念ながら
産釜をはっきりと確認できなかったので、近々再訪してこの目でしっかり確認したいと
思います。



「天の岩戸神社」(赤マーク)
京都府福知山市大江町佛性寺(番地不明)
電話番号:0773−56−0324

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