魑魅魍魎が出るって本当なのか・・・【京都 国道477号線】

今回は初の「酷道」を取り上げます。京都市左京区の北部、この辺りは政令指定都市
とは思えないほど山深く、酷道や腐道の宝庫となっています。その中で、近畿地方
三本の指に入ると言われる有名な酷道があります。国道477号線です。





京都市街から府道38号(鞍馬街道)を北へ進み、鞍馬寺の前を通過します。くらま
温泉を過ぎると、周囲は鬱蒼とした林に覆われてきます。そんな道を約10分、鞍馬
川沿いに上っていくと、分岐を示す青い看板が現れます。右折「百井(ももい)」と
あります。その下に「百井方面・幅員狭小・路肩弱し」とあります。酷道区間を予感
させる看板ですね。





ここがあの有名な「百井別れ」です。一見すると直進の道しかないように思えます。
ところが、ガードレールが途切れて、道が大きく落ち込んでいるところがあります。
写真でお分かりいただけるでしょうか?





もう少し近づいてみます。写真奥(花背峠方面)から下ってきた国道477号線は、
そのまま手前(京都市街)へと白線に沿って下っていくのではなく、ここ百井別れ
大きく左折していくのです。花背峠方面から百井方面へ一発で曲がりきれない場合が
多く、一度バックして切り返して曲っていく光景がよく見られます。





花背峠方面から見ると、うっかりそのまま進んでしまいそうなほど存在感が薄いのが
よく分かります。まるで非常駐車帯ですよね。私も初めてここを訪れたとき、一度は
素通りしてしまいました。





この先は幅員が狭いだけでなくカーブも勾配も急なため、大型車が通り抜けることは
できません。





異常気象時通行規制区間に指定されています。大雨が降れば、路肩や法面が崩壊する
可能性は十分にあります。



さて、それでは国道477号線の最酷区間へ突入しましょう。すでに何度も走行した
ことがある上、夜間の走行も行ったことがありますので、コースは把握しています。





百井別れから少し進んだところです。この辺りはまだそれほど険しさを感じません。





上の写真の地点で後ろを振り返ると、ご覧のように青看板が立っています。写真奥の
道が府道38号線で、右が花背峠方面、左が百井別れ京都市街方面になります。





進むにつれ勾配がきつくなってきます。しかし、しっかり舗装されている上に落石が
ほとんどないので、それほど走りにくくはないです。





上の写真よりもさらに勾配がきつくなります。先ほどまで路肩を守ってくれたガード
レールが姿を消しますが、この辺りはまだ道幅があり、転落の危険性は低いです。





と思ったら、いきなりこんなにも路肩が弱っているところに遭遇します。できるだけ
外側を走行しないと、崩壊を助長することになりそうです。



念のため言いますが、これは林道ではありません。れっきとした「国道」です!





急勾配区間を過ぎると、それまでより少し空が開けてきます。この辺り、夜に走ると
けっこう不気味ですよ。





小屋らしきものが見えてきました。ここには今まで立ち寄ったことがないので、今回
せっかくですし少し覗いてみることにしましょう。





百井峠地蔵堂」です。その名の通り、中には地蔵菩薩がお祀りされています。峠を
行き来する人々の安全を祈願してこのように建立されたのでしょう。





地蔵堂から見た477号線。背の低い木々に囲まれているため光はよく届き、薄暗い
感じはないのですが、何とも異様な雰囲気が漂っています。





地蔵堂を後にし、さらに先へ進みます。写真の場所が「百井峠」です。特に峠を示す
看板等は設置されていません。



ここ百井峠は標高741メートルあり、魑魅魍魎が現れる峠であると伝えられている
そうです。そんなことも知らず、過去三回ほど夜間突入しています。今までにバック
ミラーに何か映っていたとか、妙な現象が起きたとか、そういう異常な現象には一切
遭遇していません!





峠を過ぎると、百井の集落へ向け一気に下っていきます。きついカーブがないため、
どうしてもスピードが出てしまいます。注意して下りましょう。





何軒かの建物が見えてきました。どうやら百井の集落に到着したようです。こうして
人の気配があるところへ出ると、何だかホッとするんですよね。





集落の中を通る市道・・・じゃなくて!何度も言いますが、この道は国道です。誰が
何と言おうと酷道・・・ではなく国道です。





百井の集落の中心にある分岐です。通常、国道にはナンバーを表わす「おにぎり」と
呼ばれる標識が立っているのですが、ここまでの区間におにぎりは立っていません。
ご覧のようなやる気のない標識があるのみです。これが477クオリティ!





百井の集落の中を走る477号線。単なる市道にしか見えません。





さて、集落と看板群を撮ったところで先に進むとしましょう。この先にさらに一ヶ所
峠があります。それを越えると、長く急な下り坂が始まるのです。先ほど百井別れ
立っていた異常気象時通行規制区間の看板が立っていますね。





少し進むとすぐに「前ヶ畑(まえがはた)峠」に着きます。こちらも特にそれを示す
看板等はありません。が、ようやく国道標識「おにぎり」がありました。国道である
ことを証明するものです。





峠を過ぎると、大変急な勾配で下っていきます。ここでは何と18%です!





険しい地形に造られたことがよく分かる画です。上の道と下の道との高度差が凄い!



上の写真のような勾配やヘアピンカーブを何度も通過し、10分ほど下ります。





やがて中央線が現れ、勾配も緩やかになります。ここで最酷区間は終了となります。
あとは広く平坦な道を淡々と進みます。





やがて国道367号線に合流します。この合流点はつい最近整備されたようで、それ
までは集落の中を通る細い道が国道に指定されていました。現在はバイパス化され、
367号線との行き来が非常に楽になりました。



以上、酷道・・・いや、国道477号線の最酷区間をお届けしました。477号線は
他にも見所がいっぱいなので、別の機会にご紹介したいと思います。



【国道477号線の地図】(スタート地点の百井別れは紫マーク)

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