緑の中へ消えていく石段・・・【東近江 雨宮龍神社】

三つ前の記事で近江八幡の藤ヶ崎龍神をご紹介しました。今回はその後訪れた神社の
様子をご紹介したいと思います。





ここは滋賀県東近江市五個荘石馬寺町、「馬の寺」で有名な臨済宗妙心寺派に属する
「石馬寺(いしばじ)」の入口です。今回目指す場所は、奥にある石段を上った先に
あります。早速石段を上っていきましょう。





石段を数分上ると、写真ではやや分かりづらいのですが、参道が三つに分かれます。
石碑が示す通り、右が石馬寺、左が「六所神社(ろくしょじんじゃ)」になります。
この分岐を真っ直ぐ、石段の続く方へと進みます。石段の先に鳥居が写っているのが
分かりますでしょうか?





ここが今回訪れる「雨宮龍神社(あめみやりゅうじんじゃ)」です。鳥居の先に長い
石段の参道が見えます。どこまで続いているのか分かりませんが、本殿まで頑張って
上っていきましょう。





少し分かりづらいですが、石段の右側には小さな沢が流れています。その音はとても
心地よく、水は透き通っています。





石段を数分上ると、普通の山道のようになります。「よし!上り切った!」と思った
矢先・・・





すぐに長い石段が姿を現します。まだまだ先は長そうです。ポカリスエットで渇いた
喉を潤し、一段一段ゆっくり上っていきます。





石段は次第にきつくなり、周囲は鬱蒼とした雰囲気に変わってきます。緑に覆われて
いるためか、先が全く見えません。一体どこまで続いているのでしょうか?





ん?鬱蒼とした林の向こうに社殿の屋根が見えてきました。ようやく石段の終わりが
見えてきたようです。それにしても、一体何百段上ってきたのでしょうか?





石段を上り切ると、林が開けて明るくなります。大きな岩の奥には鳥居が立っている
ようです。早速そちらへ向かいましょう。





岩には何やら文字が彫ってあります。どんな意味が込められているのでしょうか?





ここで間違いないでしょう・・・って、まだ鳥居の先に石段が続いている!さすがに
そろそろ限界です。





・・・と思ったら、すぐに本殿が見えてきました。小ぢんまりとしていますが、緑に
包まれていい雰囲気です。石段を上り切った辺りから、何やら力を感じます。



まずは心を込めてお参りし、続いて本殿とその周辺を散策します。ここ雨宮龍神社は
本殿に施された彫刻が大変素晴らしいので、まずはそちらを連続でご覧ください。












なかなか素晴らしい彫刻だと思いませんか?



さて、雨宮龍神社の御祭神は・・・
★「大山津見神(おおやまつみのかみ)」・・・山・海の神様
★「級長津彦命(しなつひこのみこと)」・・・風の神様
★「級長戸辺命(しなとべのみこと)」・・・級長津彦命の別名
★「弥都波能賣神(みづはのめのかみ)」・・・水の神様
★「大綿津見神(おおわたつみのかみ)」・・・海の神様
★「底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)」
★「中津綿津見神(なかつわたつみのかみ)」
★「上津綿津見神(うわつわたつみのかみ)」
以上の三神を「綿津見神(わたつみのかみ)」と総称します。大綿津見神と同一神と
考えられ、やはり海の神様です。



由緒書によると、以上の八神がお祀りされています。同一と考えられる神が重複して
お祀りされていますが、その理由は不明です。私が推測するに、この辺りには多数の
集落が存在しており、昔は各々守り神をお祀りしていたのではないかと。当然、集落
ごとにお祀りする神様も多少は違ってくるでしょう。そうした神々を現在の地に合祀
して、地域全体の守り神として崇めるようになったのではないでしょうか。



暮らしに恵みをもたらしてくれる山や海(この地方では琵琶湖とも考えられます)、
また農耕に欠かせない水や風は、時には大きな災いを引き起こします。人々は災いが
起きることなく平穏に暮らしていけるよう、多くの神様をお祀りしたのでしょう。



雨宮龍神社という社名が示す通り雨乞いの霊験あらたかで、文政11年6月に起きた
大干ばつの際には、石馬寺の住僧が社頭で大般若経理趣分(600巻もあるお経)を
読み上げたところ、一匹の白蛇が姿を現わしました。僧は鉄如意で蛇を一撃し社殿に
投げつけると、たちまち雨がお盆を覆すように降ってきたそうです。



さて、もう少し本殿の周辺を散策してみましょう。





本殿は山の頂上に位置します。頂上は平坦になっていますが木に覆われているため、
あまりよい眺望は望めません。





注連縄が張られている木々の中に大きな岩が鎮座しています。いわゆる磐座ですね。





磐座に近づいてみると、横になっているように見えます。木に寄りかかっているよう
にも見えます。まさに御祭神が”眠る”ところですね。





本殿の右側にはご神木もあります。緑に囲まれ、清々しい空気に包まれています。





もともとは地元の人々の信仰の対象として建立された雨宮龍神社でしょうが、この
山の神々は誰でも温かく迎えてくれます。どこまで続くかも分からない長い石段を
一生懸命に上ってきたからこそ、その力を感じることができます。またいつの日か
訪れたいと思います。



「雨宮龍神社」(赤マーク)
滋賀県東近江市五個荘石馬寺町857

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